【ガザ住民虐殺につながるエジプトの壁建設を止めるために】
イスラエルによるガザ侵攻から一年を迎えた2009年12月、新たなガザ民衆虐殺作戦とも呼ぶべき動きが、今度はエジプトの側から進められていることを知り、私たちは大きな衝撃を受けています。
ガザの地下トンネルにおける密輸の防止と国境の管理権を口実に、エジプトがガザとの境界に遮断壁の建設を開始しました。「在英アラブ人権組織(Arab Organisation for Human Rights in UK)」が2009年12月21日に発表したレポートによれば、その壁は厚さ50センチ、高さ18メートルの鋼鉄の板で出来ており、ガザ地区とシナイ半島の軍事境界線となっている「フィラデルフィア・ロード(アラビア語の呼称はサラーフ=ッディーン)」に沿って、地下20~30mの深さまで埋め込まれます。全長10キロに及ぶ計画のうち、5.4キロの区間について、すでに工事が着工されました。同報告によれば、この壁はアメリカ製であり、建設工事は米軍とフランス軍将兵の完全な監視のもとで進められているとのことです。
この壁が完成すれば、これまでトンネルを経由した物資の搬入により、かろうじて生き延びてきたガザの人びとの状況は、絶望的なものとなります。ガザではこの壁の建設に対する連日の抗議デモの一方で、人びとがなけなしの現金をかき集め、今のうちに何とか生活必要物資を手に入れておこうとする動きがあることが報じられています(12月23日付「アル=ジャジーラ」)。
ハマースのスポークスマンは、この壁の建設がガザを壊滅的な状態に陥れるだろうと述べています。他方、あるイスラエル軍将校は、この壁が完成すれば武器密輸を飛躍的に制限するだろうとの見通しを示した上で「この壁はハマースを狂気に陥れるだろう」と述べました(1月4日付「アッ=シャルク・ル=アウサト」紙)。パレスチナ人をとことんまで追いつめ絶望的な抵抗を強いた揚句、先鋭化した一部の抵抗のありようを口実にガザ全体の破壊に乗り出したイスラエルが、再びそうした機会を待っているかのような口ぶりではないでしょうか。
すでにアラブ系の人権組織やイスラーム団体などからこの壁建設に対する抗議の声明が出され、各国のエジプト大使館前で抗議や請願の運動も始まっています。イスラエルによる占領に反対し、パレスチナに正義と公正を求める立場から活動を続けてきた私たち「ミーダーン<パレスチナ・対話のための広場>」は、駐日エジプト大使に対する以下の要請書の送付を準備しています。
私たちはこの問題に関し、新たな情報や行動提起などを、今後も発信してゆく予定です。
………………………………………………………
駐日エジプト大使
ワリード・マフムード・アブドゥンナーセル様
私たち日本の市民は、このたびのエジプトによるガザ境界上での遮断壁建設のニュースにたいへん驚き、衝撃を受けています。この壁が完成すれば、二年半の完全封鎖のあいだ、地下トンネルによる物資の搬入によってかろうじて生き延びてきたガザ住民の生活が、決定的に危機的な状況に陥ることは明らかです。
壁の建設について当初否定していた貴国政府はついにそれを認め、それが国民に対する安全保障上の義務行使であり、トンネルを通じた麻薬や武器の密輸を防ぐ目的をもっていると述べています。しかしそのために貴国政府は、150万人のガザ住民を絶滅の危機にさらすことが正当であるというのでしょうか? しかも、貴国が口実にしている地下トンネルは、ハマース政権の誕生後、貴国がガザとの境界を封鎖するという不法行為を続けてきた結果として、生存のためには他に選択の余地がないなかで生まれた手段でした。地上での正常な往来が可能であれば、誰が危険極まりない地下トンネルなど用いるでしょうか?
確かに国際法は、国境の内側にある領土に対していかなる改変を行なっても、それは主権国家の権利であるとしています。しかしそれは、隣接する国家や地域に対する不法行為の行使が伴ってはならないという条件においてです。イスラエルに占領され、南と東をイスラエルに囲まれ、北側は地中海に面しているという地理的条件にあるガザにとって、唯一の出口である貴国との境界に鋼鉄の遮断壁を埋め込まれることが不法行為でなくて何でしょうか。仮にトンネルの問題を抜きにしても、長年の占領に苦しめられ、一年前のイスラエルによる侵攻によって荒廃した生活を送るガザ住民を、政治的にも精神的にも完全に追い込んでしまう犯罪行為です。すでにガザ住民が壁建設に抗議し、即時中止を求めるデモを連日行っていることは、ご存じのとおりです。
貴国はこれまでにもガザを封鎖し、ガザ住民の生活を困難の極みに陥らせることにおいて、イスラエルと共犯関係にありました。それでもこれまで国際社会の非難がさほど貴国に向かわなかったのは、占領を行なっているのはイスラエルであり、イスラエルの占領こそが貴国の誤った政策を導いていると考えたからです。しかし、貴国が壁建設を継続し、イスラエルとともに新たなガザ住民虐殺に手を貸すのなら、貴国はイスラエルと同じ罪を犯すことになります。
私たちは強く訴えます。エジプト政府は、ガザとの境界上での遮断壁の工事をただちに中止して下さい。そしてガザにおけるハマース政権誕生以来続けているガザの封鎖を一日でも早く解き、ガザ住民がエジプト国内と自由に往来ができるようにして下さい。イスラエルによるパレスチナ占領に加担しないでください。
2010年1月5日 ミーダーン<パレスチナ・対話のための広場>
………………………………………………………
◎ミーダーン〈パレスチナ・対話のための広場〉
[郵便物送付先]
〒162-0823 東京都新宿区神楽河岸1 - 1
東京ボランティア・市民活動センター メールボックスNo.114
[メールアドレス]midan.filastine@gmail.com
[URL]http://midan.exblog.jp/
[郵便振替口座]00160-9-353912(口座名義:ミーダーン)